第24章 いい加減に白状すればいいのに
「それよりも、人の秘密を聞いたんだから キミの秘密も教えてよ」
『え、なんですか、その見事なまでの後出しじゃんけん』ずるい
「後出しでもじゃんけんでもないよ。
ただの等価交換。常識でしょ」
『そんな常識は初耳ですよ』
「いいから。早く出して」
『いや、そんな強盗みたいな…』
天に 迷惑と心配をかけたのは事実だし、私の秘密を蔵出ししてもバチは当たらないだろう。
きっと、天が求めている回答とは違っているだろうが。
『…以前、私の苦手な物のお話はしましたね』
「虫でしょ」
『はい。主に、足の多い系の虫です。
実は…他にも、苦手な物が あります』
「へぇ、なに」
『高い、ところが…少しだけ 嫌いです』
どうして自ら弱点を晒しているのか、分からなくなってきた。出来ることなら、知られたくはなかった。
「…少しだけ?」
『2メートル3メートルならまだしも、観覧車とかタワーとか…足元がゾワゾワするんです。
好き好んで高い場所に行きたがる人の気持ちが知れませんよ。もしああいった場所にいる時に、大地震が来て建物が倒壊でもしたらどうするんでしょうね』
「全然少しって感じじゃないし。それにキミって、苦手な物を語る時、凄く喋るよね」
『……変、でしょうか』
「いや、可愛い」
今度は、私が耳を赤くする番だった。
こんなにも整った顔を向けられ、上目遣いで見つめられては…きっとどんな屈強な精神を持った猛者だって、キュンとするに違いない。
『そ、そんなにいくつも私の秘密を集めて、何をするつもりなんですか!もう満足でしょう』はぁ
「ううん。まだまだ、足りないよ。これくらいの秘密じゃ」
『……さぁ、そろそろ帰りましょう。自宅まで、お送りしますよ』
天が、私にどんな秘密を打ち明けて欲しいのか。胸の内ではハッキリと分かっていたけれど。
まだ、気付いていないふりをした。
今はまだ、静かに蓋をした。