第24章 いい加減に白状すればいいのに
『さきほどは…取り乱してしまい、申し訳ありませんでした』
正直に言うと、途中から記憶が曖昧なのだ。心が 天の言葉を拒絶して、思考回路がショートしたみたいだった。
というか、私はちゃんと敬語を使っていたか?
丁寧語を外すと、どうしても女口調が顔を出す。
それに、ちゃんと感情を抑えられていたか?
気持ちが昂ぶると、どうしても声が高くなりがちだ。
そんな理由から、敬語も感情コントロールも、女を隠す為に常々気を付けているところ。だがおそらく、先程は大きくタガが外れてしまっていた事だろう。
「……はぁ。
いい加減に白状すればいいのに」
『…はい?』
「べつに。ただ、ボクは知りたいと思うよ。
どうして、あの言葉でキミがあそこまで取り乱したのか。
キミの過去に、一体何があったのか」
天はただただ、優しい顔付きでそう言った。わざわざ言葉にはしないが、私を気遣ってくれているのだろう。
あそこまで取り乱した姿を見せてしまったのだ。驚くのも無理はないかもしれない。とにかく、心配をかけてしまった。
『単に、私が情緒不安属性だっただけですよ』
「そんな迷惑な属性は存在しないから。
まぁでも、冗談言えるくらいなら大丈夫だよね」
『…ええ。
天、ありがとうございます』
「べ、べつに。勝手にボクが心配した流れにしないでくれる?」
せっかく、出来る限りの笑顔を向けたというのに。ぷいっと顔を背けられてしまった。
綺麗な形をした耳が、ほんのりと染まっているように見えたのは、きっと私の気のせいだろう。