第24章 いい加減に白状すればいいのに
『そういえば、和泉さんと言えば…』
「弟の方?」
『はい。
和泉三月さんの事を、兄さん 兄さんと呼んで世話を焼く姿は…なんというか、可愛らしかったですよね』
「…そう?」
当然だが、私は女なわけで。どう足掻いても男兄弟にはなり得ない。だからこそ男の兄弟に夢を見ているだけかもしれないが…
それでも、あの2人には 好意的な気持ちを抱いたのだ。
『男兄弟って、いいものですね』
「…男兄弟が、全部が全部 ああじゃないと思うけど」
次の瞬間、天の口から衝撃の事実が飛び出す。
「実際 ボクと陸は、和泉兄弟とは随分違うし」
『…………今、何て?』
思わず頭から敬語がぶっ飛んだ。驚いたというより、全く理解が追い付かないのだ。
天が何を言っているのか、意味が不明だ。
「だから、ボクと陸が双子だって言ってるんだけど。
キミ それに気付いていたから、わざわざ和泉兄弟の話をボクに振ってきたんじゃないの?」
『………まぁ、そうですけど』
嘘である。そんなのは まるで気付いていなかった。話題を選んだのだって、ただの偶然。
それなのに、どうして私はこういう時、咄嗟に見栄を張ってしまうのだろう。嘘なんかついても意味は無いだろうに。
心の動揺が、実際の行動に現れる。
嘘を悟られまいと、誤魔化しの為にマグカップに手を伸ばす。人はこういう時、じっとしていられないのだ。
しかし、動揺のせいで取っ手に上手く指が通らなかった。ガっと指がカップに衝突してしまう。
まだ半分ほど残っていた紅茶は、あっと言う間に机の上に広がった。
『あぁっ、、ま、まずいまずい ティッシュティッシュ!』
茶色い池と化した紅茶を、一刻も早く拭き取るべく。私は箱ティッシュに手を伸ばす。
すぐそこに静止しているティッシュ。なのに私は、またしてもミスをやらかす。
箱部分に肘がぶつかり、それを遥か彼方にへと飛ばしてしまったのだ。
『あぁっ、、ティッシュが!』
「……気付いてなかったか」ふむ