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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第24章 いい加減に白状すればいいのに




気を抜いていた私は、咄嗟の事に頭がついていかない。そして暗がりのせいで、視覚で相手を探りも出来ない。

誰だ?目的は?悪戯か?
色んなパターンを思い浮かべてはみたものの、体は正直だ。脳を置き去りにして、勝手に行動を起こしていた。


「いったたた!ギブギブ!ちょっ、やめてマジで!」


相手の腕を捻り上げ、背中まで回して関節をキめていた。


『え、その声…二階堂さん?』


今日何度も聞いた声なのだ。間違いは無い。
だんだんと暗闇に慣れてきた目を凝らすと、そこには確かに彼の後頭部があった。


「そうです 二階堂さんです!分かったら早く腕 解放してくれる!?」

『……』

「あー痛かった…ちょっと悪ふざけしただけなのに この仕打ち。割と本気で腕取れっかと思ったわ」


しぶしぶ腕を解放し、給湯室の電気を付ける。
2.3回、チカチカと点滅してから明かりは全灯した。するとそこには、捻られた手首を自らさする 大和の姿があった。


「びっくりしたなあ。全力で関節固めやがって…。
もし相手が可愛い女の子で、ちょっとした悪戯だったらどうするんだよ。まったく…」

『……あはは、すみません。驚いてしまって、つい』


全然 全力など出していない。それに、可愛い女の子の力では無かった。というか、そちらこそどういうつもりだ。
言いたい事は山ほどあった。

しかし、そのどれもをグッと飲み込む。
何故なら、今この男の機嫌を損ねる訳にはいかないからだ。

二階堂大和とは、ぜひとも懇意になりたい。理由は語るまでもなく決まっている。
彼が、千葉志津雄の息子だから。

少なくとも、嫌われるようなヘマは避けなければいけない。


「へぇ。自分が全く悪くないのに、謝るんだな。あんた。
やっぱ似てるわ。俺とお前さんは」

『…え?』

「俺も得意なんだよ、そういうの。外面と、内面の使い分けっていうの?」

『すみません。二階堂さんが何を仰りたいのか、よく分かりま』

「そういう奴が、嫌いだってこと。そういう捻くれた人間が」


……まずい。
何をどこでしくじったのか、まるで見当がつかない。

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