第24章 いい加減に白状すればいいのに
「ねぇ プロデューサー。IDOLiSH7のマネージャーに何かした?」
『助けましたけど』
「そういう事を聞いてるんじゃないってくらい分かるでしょ。相変わらず鈍過ぎ」
『?』
IDOLiSH7の楽屋を出て、自分達の楽屋へと移動中。
何やら天がご立腹だ。彼が何を言いたいのか まだ理解が及ばない。
「それ、確かに俺も気になった。お前に対する あの態度、お前を見つめる あの視線…
春人に惚れてるんじゃねえか?」
『「ええ!?」』
同時に声を上げた私と龍之介が、思わず視線を交錯させた。
「そ、そうかな?俺には全然分からなかったけど…」
「だろうね」
「だろうな」
『気のせいじゃないですか?いつもあんな感じでしょう。
いつだって良い子ですよ、彼女は』
「そういやお前、まんざらでもないって顔してたよな。なんだよ、ああいう女がタイプか?」にやにや
『じゃあもう、そういう事でいいです』
楽と天は口々に、これだから天然は。だとか、無意識で粉かけた。とか。なんとも失礼な事を言ってくれている。
私はそんな彼らの軽口を、半分くらい耳に入れて半分くらい受け流し。適当にあしらいながら、彼らの一番後ろを歩く。
気を抜いていたのかもしれない。皆んなで協力してピンチを脱して、気が緩んでいたのかも。体の疲れもあったのだろうか。
とにかく、私は特に気を張る事もなく、ただ3人の背中を見ながら歩いていたのだ。
楽屋まで、あと半分くらいの距離というところまで来た。そして、給湯室の前に差し掛かる。
3人がそこを通り過ぎて、私もそれに続こうとしたその時だ。
突如、にゅっと手が伸びてきて 私の腕を掴んだ。
『っ!?』
そしてそのまま、強引に給湯室内へと引きずり込まれる。