第24章 いい加減に白状すればいいのに
しばし雑談をした後。そろそろ帰る支度を始めようと、声をかけようとした時。
和泉兄弟の、弟の方が兄に問い掛けた。
「兄さん。二階堂さんの姿が先程から見えませんが、どちらかへ行かれたんでしょうか」
「大和さんならさっき、トイレ行くって言って出てったきりだな」
「それにしては、随分と長くないですか?」
「一織、そこは詳しく言ってやんなよ。アイドルだって腹下す事だってあるだろー」にやにや
「なっ!わ、私は別にそういうつもりじゃ」
いつまでも、この ほのぼの兄弟トークを聞いていたかったが。そろそろ本当にお暇しなくては。
いつまでも楽屋に居座っていては、局にもスタッフにも迷惑だ。
『では、私達はそろそろ。ジュース、ご馳走様でした。100%オレンジジュース、美味しかったです』
私がそう言うと、メンバーが笑顔で次々に御礼を告げた。ここまで感謝して貰えると、大袈裟だと思いつつも やはり嬉しい。
彼らの為に頑張って良かったと、心の底から思えた。
そして最後に、マネージャーが廊下まで見送ってくれた。
「本当に、ありがとうございました。
中崎さんだけでなく、TRIGGERの皆さんにも凄く助けて頂き、本当に感謝しています」
「うん、もう分かったから」
「役に立てて良かったよ!」
「ほら、もう中に戻ってやれよ」
腰の低い彼女に、3人も笑顔で答える。
「はい…では、お言葉に甘えてここで失礼しますね。
それで、あの…中崎さん」
『はい?』
「もし貴方が、何かに困ったり、誰かに助けて欲しいと思ったら その時は…私に、教えて下さい!
あの、不肖ながら この小鳥遊紡、中崎さんの為に精一杯、この御恩を返すべく頑張らせて頂きます!!」
『あ…えっと、それは、ありがとうございます』
こんなに健気で可愛らしい事を言われては、破顔しない方が無理だろう。