第24章 いい加減に白状すればいいのに
『それで 四葉さんが言っていた、TRIGGERのリハーサルが終わらないというのは、どういう意味ですか?』
《それは…おそらく、我々の為に時間稼ぎをしてくれているのだと思います。
誰が見ても完璧に仕上がっているのに、九条さんがOKを出さないんです。
もう一曲、もう一曲と、ずっとステージに立ち続けています》
『そうですか。天が…』
こんな時だと言うのに、胸が熱くなって。笑い声を上げてしまいそうだった。
そらくらい、私は嬉しかったのだ。
天はIDOLiSH7を良く思ってはいないと、勝手に決め付けていた。
しかし、そうではなかった。
彼は今、自分自身の意思で後輩を助けようと足掻いている。たとえメリットなど無くても、他人を助けようと頑張っている。
その姿を想像するだけで、目の前が霞むようだった。
《ところで、中崎さんは今どちらです?いくらTRIGGERでも、これ以上 時間を引き延ばすのは難しいかと》
『たった今、局の駐車場が見えました。5分もしないうちに、楽屋まで持って』
《えりりん!今どこ!?まじそろそろヤベーって!てんてん達!!もう着く!?俺あと何分何秒待ったらいい!?》
どうやら我慢出来なくなった環が、一織から携帯を奪ってしまったらしい。また彼の元気な声が耳をつんざいた。
私は落ち着いて伝える。
『もうすぐ着きますからね。タマちゃんは七瀬君に、そのパンツみたいなズボン脱いで待っててって、伝えてくれます?』