第24章 いい加減に白状すればいいのに
そろそろスタンバイを。と スタッフに声をかけられ、ボク達はステージへと足を進める。
ボクは、歩みを進めながらも小鳥遊紡に問い掛ける。
「プロデューサーからの連絡を、楽屋で待ってるんじゃなかったの?」
「…携帯は、IDOLiSH7のメンバーに託して来ました。着信があれば、すぐに出るようにと伝えてあります。
それに、衣装が届き次第 誰かがここに来て知らせてくれる手筈になっています。
私は、私が出来る事をしようと思ってここに来ました。中崎さんの代わりにはなれないかもしれませんが…
雑用でも何でも、少しでも役に立ちたいんです!」
「ふぅん。役に立ちたい、ね…
聞いてもいい?どうしてさっき、口籠ったの?」
「え…」
「番組プロデューサーに、IDOLiSH7とTRIGGERがリハ順を入れ替えたのは、春人のフォローの為だって。聞かれた時だよ」
「…それ、は」
「プロデューサーに、申し訳ないって思った?罪悪感でも持った?」
「おい天。もういいだろ、やめろ」
「良くないね。最後まで言わせて貰う。
キミが中途半端な受け答えをして、陸の衣装が用意出来てない事がバレたら、いま動いてるプロデューサーの努力は全部水の泡だ。
そんなのは、このボクが許さないから。
役に立ちたいと思うんだったら、早く覚悟決めてよね。
“ 自分は助けられるんだ ” っていう、覚悟」
そこまで言って、彼女に背を向ける。白いマントがバサっと音を立てて翻った。
そのまま、背中で語る。
「…それで、もう同じミスはしないで。
それだけで、きっとプロデューサーは満足だから」
「九条さん…」
「あー…わりぃな」
「ほんと、ごめんね!分かりにくいけど、天は怒ってるわけじゃないから」
「そうそう、今のを俺流に要約するとだな。
“ 気を遣わなくても、今回は甘えてくれて問題ないから。次からは気を付けてね ” って 天は言いたかったん」
「楽、龍、早く!」スタッフを待たせないで!
容赦の無い、楽流の甘ったるい要約。そんなのは全部聞こえないふりをして、ステージへと足をかけた。