第24章 いい加減に白状すればいいのに
「……はぁ」
まったく。彼女は、ここに来る必要なんて全くなかったのに。
むしろ、番組プロデューサーに怪しまれているではないか。
どうして春人が不在だからといって、他事務所の彼女がわざわざボク達の世話を焼くのか。当然、理解出来ないだろう。
春人の不在が、彼女のフォローなのだと知りでもしない限り。
「小鳥遊さんは、うちのプロデューサーと仲良いですからね」
「へぇ!そうなんだ。他事務所同士のスタッフなのに、持ちつ持たれつの関係か。そりゃ素晴らしい。
そういえば、今回リハの順番を代わってあげたのも、春人君がやからしたミスのカバーだって聞いたけど」
「え…それは、その…」
「そうなんですよー!あはは!彼、たまにドジやらかすんですよね」
紡が口籠ったのを誤魔化すように、龍之介が即座にフォローを入れた。楽も後に続く。
「そうそう!IDOLiSH7がリハ順代わってくれなかったら、インタビューは改めて日取りを確保しなきゃならなかったんです。
ありがとうな」
「…いえ、とんでも、ないです」
「あの男でもミスやからすんだね。なんか親近感湧いたよ。今度、酒の席で思いっきり からかってやろっと。
いら、それにしてもやっぱり売れっ子だなぁTRIGGERは!リハと本番の間に別件のインタビュー挟むなんて!
そのハードスケジュール、春人君 なかなかのスパルタだね」
「…そうでもないですよ。
彼、甘い時は とことん甘いですから」
そう。彼は甘い。
きっと今この瞬間も、他人の為に汗水流して、必死でバイクを走らせているのだろう。