第24章 いい加減に白状すればいいのに
【side 九条天】
「TRIGGERの皆さん、リハ入られまーす!」
「よろしくお願いしまーす!」
スタジオに足を踏み入れると、現場にスタンバイしてたアシスタントがあちこちから声を張り上げる。
その威勢の良い声に応えるように、ボク達も頭を下げる。
するとすぐに、恰幅の良い男性が近付いてきた。この番組のプロデューサーだ。
「どーも!今日はよろしくねー、まぁまだリハだけど」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします。今日も精一杯、歌わせて頂きます」
「相変わらず天君は真面目だね!結構結構。ところで今日は “ あの色男 ” はリハ不参加?」
ボク達アイドルを3人を前にして、プロデューサーを色男と呼ぶ…。まぁしかし、こんな会話にもいい加減に慣れてしまった。
楽と龍之介も、さらりと笑顔で答える。
「あぁ、すみません。中崎なら 少し急用で」
「そうですよ!べつに、いつも俺達の側にべったりって訳じゃないですから」
「そうなんだ。相変わらず忙しそうだねぇ彼は。
まぁ、天下のTRIGGERのプロデューサーなんだ。当然かな?」
「そんな…ボク達なんて、まだまだですよ」
「またまたぁ!謙遜しちゃって!
ところで…どうして、ここに小鳥遊さんが?IDOLiSH7のリハは、TRIGGERの次になったはずじゃなかったっけか」
彼の言葉を受け、初めてボク達は 小鳥遊紡が側にいる事に気が付いた。
どうして彼女がここにいるのだろう。今頃は楽屋で、春人からの連絡を待っているはずなのだが。
「中崎プロデューサーがご不在との事で、僭越ながら私が代わりを務めさせて頂こうと思いまして。
他事務所所属ではありますが、TRIGGERの皆さん、なんなりとお申し付け下さい!」
そう言って、深々と頭を下げる。
とうやら、今回の事で相当 責任を感じているらしい。
「た、小鳥遊さん、頭上げてっ」
「龍の言う通りだ。
そもそも、よっぽどのトラブルが無い限り あんたを使うような場面はないぜ」