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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第23章 素敵な衣装ですね




駐車場には、30台ほどの車が並んでいた。その中に、タクシーは5台ほど。瞬時に相手方を探し出すのは容易い。

というか、そもそもナンバーを確認するまでもなかった。停車中のタクシーの隣に、見覚えのある白い箱を抱えたスーツ姿の男性を見つけたからだ。

私が近くにバイクを停めると、彼の方から走り寄って来た。


「貴方が、お電話の!」

『はい、そうです。早速で申し訳ありませんが、それの中身を確認させてもらっても?』


名刺交換をする時間すらも惜しい。失礼に当たろうが、今は衣装を間に合わせる事が先決だ。

彼もそれは理解してくれたようで、慌てた様子で箱を開けた。

中には、白く輝く…長ズボン。

思わず安堵の溜息が出る。
良かった。ここでまた半ズボンでも出てこようものなら、この業者とは金輪際取引をしないよう 八乙女プロに訓令を発するところであった。私の全精力を注ぎ込んででも。
…そうならなくて良かった。


『たしかに。では、これは私が責任を持ってお預かりします』

「よ、よろしくお願い致します!そしてこの度は、多大なるご迷惑 申し訳ございませんでした!」

『すみません。私は小鳥遊プロの人間では無いので、そういうのは結構ですよ』

「え、?」

『あぁですが、小鳥遊プロの方々も 激怒されているご様子はなかったので…改めて謝罪する機会を設ければ、きっと許容してもらえるかと。
では、本当に急ぎますので』


バイクの排気音が大き過ぎて、私達はやや声を張りながら会話をする。しかし、それももう終わりだ。
私は再度、バイクへと跨った。速やかに周りの安全確認を行い、発進させる。


「あ、えっと…ありがとう ございました?

って、いうかじゃあ、あの人は一体…誰…」


ポカンと口を開ける男を残し、私は急ぎ 元来た道を辿るのであった。

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