第23章 素敵な衣装ですね
大通りを走り、どれくらい時間が経っただろうか。
予想よりも道が遥かに混んでいて、私は苛立ちを隠せない。
さきほど気が付いたのだが、今日は15日だった。五十日は道が混む。これは誤算だった。
しかし私の頭の中には、この辺りの道が全て入っている。信号機の少ない道を選び、大きな交差点は避ける。
そうして進む事で、混雑した道路というコンディションを差し引いても、なんとか間に合う計算だ。
さきほど、相手方と2度目の連絡を取った。その際に、合流地点は伝えてある。
受け取り場所に選んだのは、大きな駐車場のあるモスベーグル。タクシーのナンバーも聞いてある。
あとは、そのタクシーを見つけて衣装を受け取り、私がIDOLiSH7に届けるだけ。
バイクを走らせながら時計を見る。大丈夫。まだ間に合う時間だ。
待ち合わせ場所に向けて、なるべく飛ばす。
余談ではあるが…
実は、公共の道路を走っている車のほとんどが、スピード超過している。だから、よほど運が悪くない限りはスピード違反で止められる事はない。取り締まる数が多過ぎるからだ。
そして、スピード超過をしていても、確実に捕まらない手も実はある。
そのやり方はとても簡単でシンプルだ。
『………』
(まずは…スピードを出しまくって走る、ご機嫌な車を見つける)
目ぼしい車を見つけたなら、後はその車の後ろに張り付いて走るだけでいい。
仮に今 警察に出くわしたとしても、切符を切られるのは 私の前を走るご機嫌な車なのだ。
私はあくまで、スピード超過をしていた車の後ろを走っていただけ。という扱いになる。
と、そんなこんなで大人しくバイクを走らせていると、モスベーグルの緑色をした看板が見えてきた。