第23章 素敵な衣装ですね
そんな、固まるだけのオレの隣に立っていた壮五と環が、口を開く。
「皆さんは、プロデューサーさんの事を信頼しているんですね。
素晴らしいと思います。
きっと、どんな職業でも同じなんでしょうけど、パートナーを信じるって とても大切ですよね」
「だな。しかも、信頼してんのって てんてん達だけじゃなくって
えりりんも…3人の事 信じてっから、大事なリハを任せたんだろ?
だから、ほとんど何も言わないで、出てったんだよな」
壮五は目をキラキラ輝かせていたけれど。環の方は、なんだか悔しそうだった。
そんな環の頭を、楽が捕まえる。
「お前 よく分かってんな、ははっ!」
「や、やめろってー!髪の毛、ぐちゃぐちゃすんなぁー!」
「…ここまで来て、ようやくだよ。やっと、プロデューサーがボク達を信じてくれるようになったのは」
「あ、天も思ってた?最近、春人くん変わったよね。
丸くなったっていうか…歩み寄ってくれるようになったっていうか…」
「心の扉を、やっと開いたって感じか」
今までの苦労を滲ませるように、TRIGGERがしみじみ言うと。環は何故か誇らしげに胸を張った。
「あのな!そのへん、実は密かに俺のおかげだかんな。だから、あんたらは俺に感謝していいから」
「は?どうして四葉環にボク達が感謝をしなくちゃいけないの」
「俺が、えりりんに、男心って奴を教えてやったんだぜー」ふふん
「「「は???」」」
「えっと? もしかして、環くんが春人くんに何か言ってくれたのか?」
「……あんま喋り過ぎっと怒られっから、もう内緒ー」
何かを隠すような環に、天は詰め寄っている。
彼の生き生きとした表情や姿を見る度に、オレの中で春人への興味が大きくなっていく。
兄の姿を追うのに必死になっていたオレは、気付いていなかった。
「…信頼とか、信用とか…。本気で言ってんのかよ、馬鹿臭えな」
暗い影を落とした、メンバーの1人に。
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