第23章 素敵な衣装ですね
『……天は、ついに私の顔の書いてある文字が読めるようになったんですか。それは、さぞかし気が散るでしょう』すみません
「顔にカレーつけて周りウロウロされるよりは、随分マシ」
愛想も何もない顔で、ズバリと言われてしまう。
「…今までのキミなら、自分の判断だけで部屋を飛び出してただろうね。
ねぇ。どうしてキミは今、助けに行きたいのを我慢してるの?」
『天が、敵に塩を送るなと言ったからです』
受けた質問に、間髪入れず答えると。天は瞳を大きくした。そしてその後、満足そうに笑って言った。
「…いいよ。行っても」
『え、それはまた どういう心境の変化で』
「プロデューサーが、ボクの言葉を ちゃんと考えてくれていて。自分の望みよりも、それを優先させようとしてた。
とりあえず今は、それで良しとしてあげる」
彼がどうして、それくらいの事で こんなにも嬉しそうにしているのか。
私にはよく分からなかったが、とにかく天様からのお許しが出たらしい。
顔を上げ、今度は楽と龍之介の様子を伺ってみる。
『私、行っても良いですか?』
「俺は勿論いいよ!行ってあげて」
龍之介ならそう言うと予想はしていたが、やはり想像通りの答えが返って来た。
楽も、おそらく許してくれる。だが彼の場合、嫌味の1つは必ず溢すのだ。そういう部分が、龍之介とは違うところ。
「お前は本当にお人好しだよな。その人の良さには、毎度驚かされるぜ」
『だって、考えてもみて下さいよ。
私がどうにかしなかったら 七瀬さん…
あのパツパツ丈無し短パンで、歌って踊るんですよ?しかも周りは全員 長ズボン。しかも彼はセンター。そんなのって、不憫過ぎません?』
「救ってやってくれ!!七瀬を必ずその地獄から救ってやってくれ 頼む!!お前なら出来る!!」