第23章 素敵な衣装ですね
「冗談は置いておいて。ボクは、あまりIDOLiSH7に肩入れしない方が良いと思うけど」
『肩入れなんて』
「してない。って ことはないだろ」
「…彼らは、ボク達のライバルだ。敵に塩を送るような真似、しないで」
天は、声を強めた。
彼が厳しいのは 普段もそうだが。やはりIDOLiSH7が絡むと、それはより顕著になるような気がしてならない。
『…覚えておきます』
「分かってくれれば、べつにいいけど」
なんとなく部屋の空気が張り詰めたような気がする。
そんな時、状況を打開してくれるのは大体 彼だ。
「でも、春人くんに話を聞かせて欲しいって気持ち、俺も分かるな」
『私はべつに、そんな大それた事はしていませんけどね』
「そんなことないよ!
ねぇ、どこでそういう技とか考え方身に付けたの?
そういえば、春人くんって、八乙女プロに来る前は どこで何してたんだ?」
まさか そういう質問が急に飛んでくるとは予想していなかったので、即座に反応出来ない。
「………」
(龍のこういう素直なところは…)
「………」
(ある意味 得だよな。俺なら聞けねぇ)
今までは、自分の過去や遍歴を突かれるのが苦痛で仕方なかった。
出来るだけ隠してきたし、話すつもりも毛頭なかった。
しかし。そんな私の心境も、随分と変わったものだ。彼らになら、嘘偽りのない話をしても良いと思っている私がいるのだから。
ソロアイドル Lioとして活動していた過去は話せずとも、核心に触れない部分なら、晒しても良い。
TRIGGERは、もう私の一部なのだから。
『…八乙女事務所とは、比べ物にならないくらい小さな事務所に勤めていました』
「……!」
(話すんだ。今までなら、意地でも隠し通したはず)
「……」
(こいつも少しずつ、俺達に歩み寄ろうとしてるのかもしれねえな。とてつもなく遅いけど)