第22章 私にも、出来るでしょうか
『…そういえば、まだ あなた達の用向きを伺っていませんでしたね』
私が口を開く前に、マネージャーが彼に答える。
「こんな事を、他事務所のプロデューサーさんにお願いするのは大変心苦しいのですが…
ぜひ、勉強をさせて頂きたくっ!」
『勉強?』
「はい!私は、まだマネージャーとしても未熟で。企画を考えたりするプロデュース能力も低くて…。どうすれば成長出来るのか、IDOLiSH7を導いていけば良いのか考えていました。
そんな時に、中崎さんのお噂を聞いたんです!」
『私の噂…』
「それは、とても肯定的な噂で…!私も、見習いたいと思ったんです。
不躾なお願いではありますが、私に教えて頂けないでしょうか!
あなたの、やり方を!」
「私からも、どうかお願いします」
『いや、あの…ちょっと待って下さい!私にはそんな、人に教えられるような事は、』
珍しく焦る彼は、きっと素の春人なのだろう。正直 こういう普通の人間らしい姿を見ると、少し安心出来た。
「やめとけって。悪い事言わねぇから」
「そうだよ。プロデューサーの “ アレ ” は、良いことばかりじゃない。それなりのリスクも伴ってる」
「あぁ…そういえば、この前の事件は…。本当に、肝が冷えたよね」
天が言う アレ とは…
さきほど春人が見せた、まるで別人にでもなったかのような 変わり身の事だろうか。
そして、龍之介が意味深に仄めかした 事件とは。一体何があったのだろうか。