第22章 私にも、出来るでしょうか
「春人っくーーん♡」
ノックもなしに 部屋へ飛び込んで来たのは、30歳くらいの女性。見た目は派手で、メイクも濃い。しかし、綺麗な女性だった。
彼女が、春人の待っていた 本来の客だろうか…
なんて、考えている場合ではない!このままでは、彼のあられもない姿(口にカレーを付けた情けない顔)が露見してしまう!
『あっ、やっと来てくれた。待ってたんですよ?』
え?
「ふふふ。ごめんなさいね、打ち合わせが長引いちゃって予定より遅く…
って、やだぁ 春人くん、口にカレー付いてるわよ!」
『え!嘘、ぅわ…ちょ、恥ずかしい…!』
「もーーっ!ほんっと可愛いんだから!ほら じっとしてて?いま拭いてあげるからね」
これは…
『えへへ、ありがと』
誰だ!?
いま私の目の前で、えへへ とか笑っている男は!誰なんだ!
私が呆気に取られていると、天が2人の空間に踏み込んでいった。
「酷いですね、中崎にばかりかまって、まるでボク達なんて目に入ってないみたい」
「あらやだ天ちゃん!そんな事ないわよ?私は皆んなに挨拶に来たんだから」
「本当ですか?ボクも、会えるの楽しみに待ってたんですから。
打ち合わせが終わったってことは、これから撮りですか?」
「ううん!それは明日〜。天ちゃん達は今日この後、歌番の収録でしょ?頑張ってね!楽ちゃんも龍ちゃんもっ」
「ひでぇよな龍、俺達は完全についでだぜ?」
「はは。でも、存在を思い出してもらえただけでも良かったよ」
「もう!初めから忘れてなんてないってば!!
じゃあまたねっ!あなた達と組める日が来るの、楽しみにしてる」
最後に春人にウィンクをパチンと飛ばすと、嵐のような女性は去って行ったのだった。