第22章 私にも、出来るでしょうか
少し離れた場所で、ナギと壮五が。ソファでは、マネージャーと三月と陸が談笑中。
そして ケータリングとして用意された飲食物の前には、大和が立っている。
そんなふうに、なんとなく部屋中をぐるりと見回して。それから少し考えてみる。
ここで物思いに耽っているよりも、いっそ春人に直接 話を聞いてみようか。
きっと、面白い話が聞けるに違いない。私とマネージャーにとって、すなわち これからのIDOLiSH7にとって、有益な話が聞けるかもしれない。
思い立ったが吉日。私はすくっと立ち上がった。
行動に起こすならば、早い方が良い。環が、トイレから戻ってこないうちに。
彼の事だ。私が春人に会いに行くと告げれば、自分も着いて来ると言い出しそうだから。いや、きっと強引にも着いてくるに違いない。
そうならないよう、私は素早くマネージャーに進言した。
「ちょっといいですか?」
「はい!勿論です。どうかされました?」
「今から、もう一度TRIGGERの楽屋へ行きたいのですが。一緒に来てもらえますか」
と、ここまで言ってようやく気が付いた。
私を見上げる、陸と三月の、キラキラとした視線に。
「さすが我が弟!やっぱし あのままじゃ終われねぇよな!兄ちゃん、ここでお前のリベンジ応援してっからな!!」
「一織!次はきっと大丈夫だよ!
えっと、人っていう字を手の平に三回書いて飲み込むんだって!そしたら、緊張に意外と弱い一織でも絶対に大丈」
「余計なお世話ですよ!!」
本当の事を話している時間が惜しかったので。屈辱的な気持ちをなんとか押さえ込み、そして叫ぶと同時に楽屋を後にするのだった。