第22章 私にも、出来るでしょうか
大和の解説で、ようやく理解した。私と環とでは “ 気になる ” の意味が大きく違っていたということに。
いやそれにしても、さきほど環は、愛だのライバルだのと発言していたが…あれはどういう…
「ちなみにだけどー、俺は完全にイチ派な。好きでもなんでもないけど、あの人がどういう人間なのかは、たしかに気になる」
「へへ、えりりんはスゲェからなぁ」
「どうしてあなたが誇らしげなんです」
「というか、タマは本当にえりりんが好きだよなぁ。
あぁ、そーいや…お前のLio好きが発覚したのと、えりりん えりりん〜って騒ぎ出したのって…
ちょうど、同時期ぐらいじゃなかったっけ?
大体、男にえりりんってアダ名はねぇよなぁ。
なぁ?タマ?」
大和の眼鏡が、キラリと鋭く光ったその時。ちらりと環を見ると、滝のような汗をかいていた。
「〜〜〜〜っっ!
あー!俺、なんか急に、ちょー腹痛いかも!ってことで…トイレ!行ってきます!!」
これは暫く帰ってこれないかも!と叫びながら、トイレへと直行した環。
そんな彼の背中に、大和は小さく呟いた。
「ははっ。あんな分かりやすくて大丈夫なのか?ま、それもタマちゃんの良いところかな と。
なんかお兄さんは喉が渇いちゃったから、ケータリングの飲み物漁ってこよ」
楽しそうに目尻を下げながら、大和も私の前から姿を消す。
どうして大和が急にLioの名前を出したのか、この時の私は勿論知る由もなかった。
分かるのは、環が異様に焦っていたという事だけ。