第3章 今の寝言は、特別に…聞かなかった事にしてあげる
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『———っ!?』
何故私はベットで横になっている!?
それに、完成させたはずの音源ディスクが見当たらない!
意識の覚醒と同時に、私は跳ね起きるようにしてベットから飛び出した。
どれくらい寝てた?いやもう何時から寝ていたのか分からないので、何時間寝たのかも分からない!
とにかく彼らと合流して、早く曲とダンスの完成を伝えなければ!
私が曲を完成させた、ピアノのある防音室へ向かう。おそらくそこにCDと楽譜があるはずだ。…多分。
『!!』
たしかにCDと楽譜はそこにあった。しかし、そこにはTRIGGERの姿もあった。
そして…
「————!」
「———っ」
「————♫」
私の曲を、歌っていた。
扉を閉める事も忘れて、私は彼らの声に耳を傾ける。
やはり、自分で歌うのとは全然違う。当たり前だ。だってこの曲は彼らの為に作った。
たしかに私が生み出したのだが、もうこの曲は…絶対的に3人だけの物だ。
「おう。起きたのか」
「おはよう。気持ちよさそうに眠ってたね!」
「ここの小節、歌いにくいんだけど。調節してくれない?」
ちょ、ちょっと待って欲しい。状況がまだ飲み込めていない。
『えっと…あの、貴方達は結局 この曲をブラホワで歌うんですか?』
黙り込む3人。やがて、リーダーの楽が口を開く。
「アンタ、今の俺達の歌聴いてただろ?なら分かるよな。これは…間違いなく俺達の曲だ」
『は、はぁ?』
「楽の言葉をまとめると “ 気に入った。ありがとう ” って事だよ。分かりにくいよね」
「もう既に社長のGOも出たから。歌わないわけにはいかない」
「親父は別に関係ねぇだろ」
とにかく、私の作ったこの曲を歌う気になってくれたらしい。
とりあえず、彼らをその気にさせる。その仕事を私は果たせたようだ。