第22章 私にも、出来るでしょうか
私が衣装のチェック。TRIGGERの面々がカレーを食していると…
「失礼します」
『どうぞ』
ノックの音の少し後、可愛らしく控えめな声がする。私はすぐに声の主に思い当たり、考える間を置かずに返事をした。
そしたら案の定。顔を覗かせたのは、IDOLiSH7マネージャー 小鳥遊 紡であった。
彼女は、カレーを食べているTRIGGERを見て慌てる。
「あっ…ごめんなさい!メンバーを連れて、ご挨拶に伺ったのですがタイミングが悪かったですよねっ。お昼時に来てしまってすみません…!」
「あぁいいって。もう食い終わるし」
「そうそう。わざわざ挨拶に来てくれてありがとう!気にせずに入ってよ」
「………」
TRIGGERとIDOLiSH7は、今日が初対面というわけではない。
ほんの数週間前、TRIGGERがライブを行った際に 楽屋まで挨拶に来てくれたのだ。
しかし、IDOLiSH7が公式にメジャーデビューを果たしてから対面するのは、今日が初めてだ。
などを考えながら、私は沈黙を貫いている天に視線を向ける。
彼にしては、違和感のある対応だ。
普段なら もう少し愛想良く振る舞うはずなのだが…。
その違和感の答えが出ないまま、楽屋にぞろぞろと7人のメンバーが入室する。
「こ、こんにちは!今日はよろしくお願いします」
「あぁ、どうも七瀬さん!IDOLiSH7、デビューおめでとうございます」
「あ りがとうございます」
「こちらこそ、今日はよろしくお願いしますね」
緊張を隠しきれない、センターの七瀬 陸。そして彼の対応をした天…。
『……?』
(天が、強引に仕事モードのスイッチをオンにしたような…)
いつもなら、もう少し自然に切り替えるはず。なのにどうだ、今日の天は明らかにおかしい。
もしかしなくても、天と陸の間には 私の知らない何かがあるのだろう。