第21章 キミがいてくれて、良かった
私が頷いたのを確認してから、天はようやく口元から手を離してくれた。
『あ、皆さんにも連絡しておかないといけませんね』
「へぇ。キミにしては、よくそこに気が回ったね」
天の嫌味は華麗にスルー。
『少し、ここで待っていて下さい。携帯電話が使える場所に行って来ますので』
「了解」
すでに患者が誰も居なくなった待合室。たくさん並んでいる背もたれ付きの椅子に天を座らせ、私は携帯電話使用可能エリアへと向かった。
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「楽!春人くんから、グループラビチャに連絡が入ったみたいだ」
「グループラビチャなんだから、それくらい俺にも分かってる」
「なによ!あんた達!いつの間にかそんなもん作っちゃって!アタシのことも入れなさいよ!…って、今はそんな事より内容ね。
天の容態はどうだったの?!」
《 セーフ 》
「……」
「……」
「……まさかの3文字」簡潔過ぎるでしょ
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「随分と早かったね」
私が待合室に戻ると、天は少しだけ驚いた瞳でこちらを見上げた。しかし、その目はすぐに疑心に満ちたものに変わる。
「まさか、また4文字で済ませたんじゃないよね。前みたいに、“ いい感じ ” とか」
『…4文字では、ありませんよ』
何故なら今回は、3文字だから。
「そう。ならいいけど」
『………』
もしかして この後、病院を出て グループラビチャを確認した天に 私は怒られてしまうのだろうか。