• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第3章 今の寝言は、特別に…聞かなかった事にしてあげる




【side 十龍之介】


突然目の前に現れた、綺麗な男の人。事務所の廊下の角で、ぶつかってしまったのだ。
あの時は本当に驚いた。

どうして驚いたかって…

物凄く、軽かったから。

少し当たっただけで、簡単に向こうの体が吹っ飛んでしまった。

慌てて掴んだ腕は、信じられないくらい細くて…。男だなんて思えないくらいに。

大の男に、こんな事を思うのは失礼だけど。
なんだか可愛い人だな。と感じた。


それなのに…このあとすぐ、TRIGGERの全権を彼が握るって聞かされて。急に怖くなった。

今までの俺達が、俺達でなくなってしまう気がして。

TRIGGERが、TRIGGERじゃなくなってしまう気がして。


でも、そんな考えは、彼が作った曲を聴いて吹き飛んだ。

彼の作った曲は、紛れもなく…俺達の曲だったから。



「龍?大丈夫か?」


楽の呼びかけに、はっとする。どうやらかなり ぼーっとしていたらしい。


「あ、あぁ。悪い。大丈夫だよ」

「酔った?…あの曲に。気持ちは分かるよ。ボクもまだ、余韻から抜け出せない」


やっぱり、天もか。多分 楽も。

それくらい、あの曲は衝撃的だった。


「…うん。そうだな。かなり、酔ったかも。キツイ泡盛一気に煽った感じ」

「沖縄弁は勘弁しろよ?仕事中は」

「はは、さすがにそこまでは大丈夫」


たしかに俺は酒に酔うと、沖縄の言葉を話してしまうのだが。

それにしても、酒に酔った事は多々あるが。曲にここまで酔わされたのは…初めての経験であった。

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp