• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第20章 出来ますよね。貴方達なら




—————


「お前ら全員、最高だったぜ!」

「楽しんでくれた?また俺達に会いに来てね!」

「ありがとう!!皆んな、大好きだよー!」


大阪公演初日は、大成功のままに幕を降ろした。

私も客席で観ていたが、完璧な仕上がりだった。私が要求したものに、ファンが求めているものに、彼らは100%応えてくれたのだ。

この分なら、明日の締め括りも問題なく臨めることだろう。



「あー…最高だったなぁ」


ライブで全てを出し尽くしたようで、楽は半ば放心状態で呟いた。


「あの支配人さんも、満足してくれたみたいで良かったよ!」

「信じられないくらい大阪弁が出てたね」


ホテルへ帰るまでの少しの時間を、控え室で過ごす私達。ライブが大成功だった分、他愛のない会話ですら よく弾む。


『元々あの方は、大阪生まれ大阪育ちですからね。仕事の都合上、方言は抑えているんでしょうが、感情が高ぶった時はタガが外れるようです』


私服に着替え終えた楽が、小さな更衣室から出て来る。


「龍が酔っ払った時に、沖縄弁しか話さなくなるのと同じようなもんだな」

「そうだね。うん、俺は支配人さんの気持ち分かるなぁ」

「なんにせよ、ボク達のライブを観て 感動してくれたって事でしょ。良かったんじゃない?」


龍之介と天も、すっかり着替え終わって メンバーが揃った。


『では、ホテルへ行きましょうか。明日の為にも、早く体を休めて下さい。連日のライブでお疲れでしょうから』

「優しいお前は、気持ちが悪いな」

『失礼な。私はいつだって優しいです』


朗らかに笑い合う、平和な時間。


私は、浮かれていたのかもしれない。

この時、もっと注意深く彼を見ていれば。

違和感を持てていれば。


明日、あんな事態には、陥らなかったのかもしれないのに。

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp