第19章 こんなにも好きなのに酷いじゃない?
「言っとくけど。これ考えたのも、コンビニに買いに行ったのも あの子達だから」
『え?』
私は、うどんをすすりながら首を傾げる。
「まぁ、楽は最後までざる蕎麦にするって駄々捏ねてたけど…」
コンビニで、楽を必死に止める龍之介の姿と、それを冷たい目で見ながら うどんをレジへ持って行く天の姿が目に浮かぶようだ。
「アナタは…愛されてるわよね。随分」
『………』
「あの3人は、アナタが女として現れていても…。
きっと、アナタを認めてた。絶対ね。マネージャーとして、彼らの側にいたアタシが言うんだから間違いない。
何故なら、アナタが全力で頑張れる人間だからよ。それこそ、女も男も関係ない。
あの子達や私は、勿論一緒に仕事をする人間を選ぶわ。
でも、性別なんかで決めたりしない。
“ 男 ” とか “ 女 ” じゃない。
“ 全力で頑張れる人間 ” か どうか。ただ その一点のみ。
自信を持ちなさい。胸を張りなさい。
アナタは今、選ばれてここにいるのよ」
『………』
あぁ。私は、
ここに来て、良かった。
『はい…!』
「まぁでも実際、性別を気にする堅物は未だに多いわよね」
『ですね』
社長や姉鷺の提案で始めた男装だったが、実は色々と功を奏している。
今では、私が重い荷物を持っていても誰も気にしないし。接待には声を掛けられやすいし、いちいち終電を気にされる事もない。
『だから、私 今凄く充実してるんですよね…。男として働かせて貰ってるおかげで、全力で仕事に打ち込めてる。それって、こんなにも幸せなんですね。
まぁ、男性に対して 枕が使えないっていうマイナス面もあるんですが』
「……ねぇ。今気付いたんだけど。そう考えると…アタシって、最強よね」綺麗を兼ね備えて、ジェンダーの壁も越える…!
『…ま、まぁ そうですね』
とりあえず、オカマさんは最強らしい。