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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第19章 こんなにも好きなのに酷いじゃない?




『その会議だけじゃありません。私が性別というものに壁を感じたのは。

重い荷物を持っていても、それは俺が運んであげるよ と、誰かが止めてくる。
飲みの席でも、男性に比べると、強引には酒を勧められない。
ミーティングで、積極的に意見を述べると、女のくせにと陰口を叩かれる』


私は、再び目の上に腕を置く。


『私には、分かりませんでした。

皆んなと同じように、いや それ以上のやる気が私にはあるのに。それを当たり前のように、させて貰えない環境が。

どうして、女だからと 頑張る権利を奪われるのか…!』

「…若いわねぇ」


分かっている。これが、社会というものなのだろう。とっとと割り切ってこの荒波を乗り越える事が、大人になる というものなのだろう。


『姉鷺さんに、キャパオーバーだと言われただけで 勝手に過去の出来事を重ねて…八つ当たりしました。
本当に、すみません』


姉鷺は別に、男だ女だと言っていたわけではないのに。
まるで、もう頑張るな。と言われたようで 無性に腹が立ったのだ。


「ま、食べなさい」

『え?』


姉鷺は、レンジの中から 温めが完了した物を取り出す。
これは…

ざるうどんと、中華丼?


『いや…えっと、2つも食べられません』


というか、どうして うどんまで温めてしまったのか。温かいざるうどんなんて聞いた事がない。


「馬鹿ね。こうするのよ」


姉鷺は、ざるうどんの上に、セパレートタイプになっている中華丼の具をぶっ掛けた。


『あ…!』

「ほら。こうすれば、御所望の ぬるぬるうどんでしょ」

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