第19章 こんなにも好きなのに酷いじゃない?
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部屋へ帰って1人…。
ものすごい自己嫌悪に陥っていた。
『…なんで…』
“ キャパオーバーって事なんじゃないの? ”
何故…特に深い意味の無い、あんな台詞にいちいち目くじらを立ててしまったのか。
いや、原因ならわかってる。
私はもう、誰からも侮られたくないのだ。
ベットに横たわり、腕を目の上に乗せて 蛍光灯の光を遮断する。
「入るわよー」
『!』
どうやら、物思いに耽っていてノックの音を聞き逃したらしい。返事をする間も無く、姉鷺が入ってきた。
慌てて体を起こそうとする私を、足早に近付いてきた彼が制止した。肩を優しく押されて、私は再びベットへ身を沈める。
「いいから休んでなさい。すぐ出てくから」
『え?』
すぐに出て行くと言うのなら、彼は一体 ここへ何をしに来たのか。
「良いもの持って来てあげたのよー」
そう言って、部屋に備え付けてある電子レンジに 何かを放り込む。
『あ、あの。
さっきは、失礼な事を言って すみませんでした』
私は、すかさず謝罪をする。こんな体勢で 謝るのもなんだが…。
「べつに、気にしてないわよ?
でもどうしたのよ。イライラしちゃってるわけー?あ、もしかして生理前?」
『いえ、予定ではあと2週間は先です』
「そういう事、サラリと言えちゃうのが ほんとエリちゃんらしいわよねぇ」
彼の様子から言って、私の失言で腹を立てているようには見えなかった。とりあえずは安心した。
『イライラ…していたとかではなく、少し、その。嫌な事を 思い出しまして』
「ふぅん。
珍しく歯切れが悪いわね。そんなアナタは珍しい。話すのが嫌じゃなければ、聞かせて貰える?」
姉鷺は、ベットの横に置いてあった椅子に腰掛けた。