第19章 こんなにも好きなのに酷いじゃない?
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「運転手さん、凄い苦笑いだったよ」
早速、天は先ほどの失態を暴露する。すると、楽と姉鷺の笑い声が個室にこだました。
「ははっ!それどんな世界だよ!」
「ふふふっ!運転手さんも、それはさぞ困ったでしょうね!」
「ほ、ほら、春人くん 今ちょっと疲れてるから」
龍之介がフォローした ちょうどその時、目の前に山盛りの手羽先が運ばれてくる。
それを、楽が笑顔で受け取る。
「ありがとう」
「!は、はいっ、お待たせしました!」
異様なまでの美形集団に、店員の顔が赤く染まる。きっと、後で色紙とペンを持った店長がやって来るだろう。
「うわ、さすがに美味そうだな。龍!ビール飲むだろ?」
「いいね!飲む飲む!」
「信じられない。ライブ前日に飲むなんて。キミ達の神経を疑うよ」
まぁ天の言う事も一理あるが、生ビール1杯くらいなら正味 明日への影響は無いだろう。
「これ目の前にして 平然と烏龍茶飲んでる奴の方が、神経疑うぜ」
「ボクは未成年なんだけど。それより、本当に1杯だけにしてよね」
「大丈夫。分かってるよ!天」
ビールジョッキを片手に、幸せそうな龍之介。
「…いや、どちらかと言えば龍の方が心配」ぼそ
『天。大丈夫ですよ。もし、彼らが明日のライブに影響が出そうな程 飲みそうなら…
殺してでも止めます』
「馬っ鹿ねぇ。殺したら、そもそもライブどころじゃないでしょうに」