第19章 こんなにも好きなのに酷いじゃない?
私は、すぐに気が付いた。ベットの下にそれが落ちている事に。
おそらく眠っている間に、手からこぼれ落ちたのだろう。
『私の食事なら、そこに』
言いながら、見つけたゼリーを指差した。それはちょうど楽の足元辺りだ。
「?」
急に足元を指差された楽は、首を傾げて一歩後ずさる。
あ、ヤバイ。
と思った時には もう遅かった。
ぶちゅ。
悲しい音色と共に、中身が全部 発射された。
そこにいる全員の視線が、飛び出したゼリーに集まる。
そしてその数秒後、今度は楽の顔に集中するのであった。
『…私のディナーが…』
「俺のせいかよ!?」
いや、そんなところに食べ物を転がしていた私が悪いのは 言うまでもない。
「ま、これで あなたの食事は無くなったわねぇ。もはや外に食べに行くしか」にや
『いえ。ストックならあります』
私はボストンバッグ開き、中身を見せる。
中には、残り12個のゼリーが入っている。
「…残り4日間の、朝昼晩で12個」
天がズバリ言い当てる。
「だっめ!ダメダメ全然駄目!」
姉鷺がブンブンと首を振る。
そして、その後ろでは龍之介と楽が 飛び出たカロリーを黙々と掃除してくれている。
「あのね、これはただの栄養補助食品であって、断じて食事ではないの!」
『はぁ…まぁでもツアーの最中だけですし。なんとか見逃してもらえませんか』
「見逃せるわけないでしょ!!アンタが部屋に閉じこもって、こんなものチューチューやってたら、私は…
アタシは!誰と名古屋飯を堪能すれば良いのよ!!」
『………』
「1人で行けばいいのに」
天の冷静な声が、部屋に悲しく響いた。