第19章 こんなにも好きなのに酷いじゃない?
コンコン
「もっしもーし?春人ちゃーん?」
コンコン
「おっかしいわねぇ…」
「もう寝てるんじゃない?」
「あの仕事馬鹿がこんな時間に寝るわけないでしょ!きっと今頃パソコンとか開いて、明日の確認だのなんだのやってるわよ」
「おい見ろよ。鍵開いてるぞ」
「ええ!?不用心だなぁ…」
「結果オーライ。じゃ 入るわよー」
「姉鷺さん…まるで流れるような入室ですね」
「いいのかなぁ、勝手に…」
『…ん、ぅ…。いやいや、…タコの入ってないタコ焼きは…ただの、小麦粉焼きですから…』むにゃ
「春人くん!?もう気持ちは大阪に!?」
「世界で一番、情けない寝言だね」
「っつか、もう休んでるし このまま寝かせとくか?」
「起こすに決まってるでしょ!」
(っていうか 何も考えずに突入しちゃったけど、男装したままで良かった!)
なんだか、悲しい夢を見た気がする。しかし、突如襲ってきた鼻の痛みで 意識が覚醒する。
『っ、い、いたぃ…、え?なに…』
ぼんやりとした視界が徐々に開けてくる。
ぎゅむっと鼻をつまむ姉鷺に、それを見守るTRIGGERの面々。
「ねぇ、タコ焼き買ってきてあげようか?」
「お前、腹にパソコン置いて寝るなよ」
「春人くん、ごめんね。勝手に部屋に入ってしまって」
未だ頭が混乱中の私を、取り囲んで彼らは言った。
『あ…、いえ。問題ないです』
「何が問題ないです。よ!!あんた自分の顔見てみなさい。酷い顔色してるから。それにお肌もガッサガサ。
寝るのは良いけど、ご飯!ちゃんと食べたんでしょうね?」
『え、あぁ、はい。さっき…
あれ?』
姉鷺に、握っていたエネルギー食を見せようと思ったが。どうにも見当たらない。さきほどまで、たしかに左手にあったはずなのだが…。