第19章 こんなにも好きなのに酷いじゃない?
そして、あっと言う間に福岡での2日間は終了。
無事に次の会場への荷出しも終えて、ホテルのベッドへ速攻ダイブする。
現在地は名古屋。明日は、ここ名古屋での初日公演だ。
早く ノートパソコンを開いて、明日のライブ内容の確認をしなくては。それと、挨拶回りの優先順位リストももう一度見ておきたいし…
あぁでも、さすがにちょっと疲れた。体が持ち上がらない。
TRIGGERは、言うまでもなく よくやってくれている。そのライブ内容には文句の付けようもない。
そして今回のツアーに着いてきてくれた姉鷺も、私をとても助けてくれる。
そしてそして…。私も本当に、よく働いている。
いや、自分でこういう事を言ってしまうのは どうかと思うが。
自分で自分を褒めてやりたい、とはよく言ったものである。今が、まさにその状態。
『でも何か…食べなきゃ』
正直、食欲は無かったが。まさか倒れるわけにはいかない。
頑張りすぎてツアー中にダウンしては、元も子もないからだ。いくら疲れていて頭が回らなくなっていても、それくらいの分別はついた。
最低限の食事、最低限の睡眠。これだけはきっちりと確保しなくては。
私はボストンバッグを広げると、中から携帯食料を取り出す。
片手 10秒で、おにぎり一個分の栄養が摂取出来るというゼリー状の奴だ。
キャップを開けて入口を咥える。そして、プラスチック部分を強く噛んで両手をフリーにし、パソコンを取り出した。そのパソコンを、腹の上に乗せる。
起動スイッチを押してから、やっと携帯食料を左手に持った。
それにしても…寝っ転がりながら飯を食べ、腹の上にはパソコン。なんともだらし無いが、これが今ベストの体勢だといえよう。
しかし。
『うわ…、やば。ねっむ…』
ベットに横になって、睡魔に襲われるまで そう時間はかからなかった。