第19章 こんなにも好きなのに酷いじゃない?
———新幹線 車内
天、楽、龍之介、姉鷺。
「やっぱり、グランクラスで食べる駅弁は格別よねぇ♡超美味しいっ」
「姉鷺さん、プロデューサーはまだ移動しないんですか?」
「別行動が好きだよな、あいつは」
「あはは、たしかに」
「ちょっと、なんなのよアンタ達!最近ずっと春人春人って!アタシじゃ不満だっての〜!?」
「そ、そんな事ないですよ姉鷺さん!ただ、春人くんは今なにしてるのかなぁ?って思っただけで」
「…ならいいけど。あの子なら、多分今頃 積荷チェックしてるんじゃないかしら。ツアーじゃ、機材の積み忘れが命取りだからって。
自分で最終チェックしなきゃ気が済まないんですってよ。ふふふ、なんかそれって病的よねぇ!」
「…彼らしいですね」潔癖
「で?後輩がそうまでして頑張ってんの知ってて、お前は今どんな気持ちなんだよ。姉鷺」
「そうねぇ………。
白ワイン…飲みたい」
「「「………」」」
(この人はもう駄目だ)
—————
『東京駅にお願いします』
タクシーに乗り込むと同時に、運転手に行き先を告げる。急いでいると理解してくれたようで、すぐに車は動き出した。
腕時計に目をやりながら、タイムスケジュールを組み立て直す。
『………』
(この時間だと、新幹線に乗れるのは 予定した物の次の次か…。少し押しているが大丈夫だろう。着いたらすぐに支配人に挨拶して、レンタルする機材の確認して…)
向こうに到着してから迷う時間など無いよう、出来るだけ細かく計画を組み立てる。
TRIGGERの面々は、先に移動している。姉鷺に、彼らには到着後すぐにステージのチェックをしてもらうようお願いしてある。
それで、彼らの今日の仕事はお終い。明日のライブの為に、ホテルで英気を養ってもらうのだ。