第19章 こんなにも好きなのに酷いじゃない?
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最初の公演場所、東京でのライブは難無く終わる。TRIGGERはいつも通りの仕事をしてくれた。
“ いつも通り ” なんて言い方をしてしまえば華が無いが、彼らが年間通して一体どれほどの数のライブをこなしているかを考えると…
毎回、安定した、完璧なライブを いつも通りやってのける事が、どれくらい難しいのか分かる。
当たり回、外れ回を作らず。毎回 会いに来てくれるファンに、必ず “ 大当たり回 ” を見せる事の出来るTRIGGERは、まさにプロだ。
しかし。ツアーの修羅場は、ここからだ。
『違います!!その機材はこの会場の物なので触らないで下さい!』
会議で何度も確認したはずなのに、どうして間違える?
『赤いテープの付いた物は、赤の目印が貼ってあるトラックへ!
同じように黄色のテープが付いてある機材は、黄色の目印がされているトラックへ!』
さすがに大型ツアーライブともなると、普段助けてくれているスタッフだけでは数が足りない。
どうしても、臨時のスタッフを雇わなければならないのだが…。
これがまぁ、連携の取りにくい事。やりにくい事。
『急いで下さい!もうトラックは高速に乗っていないといけない時間ですよ!』
人数が増えると、それだけバラツキが出る。力量もそうだが、1番顕著なのは、やはり熱量。
全員が全員、死んでも全てのライブを走り切るぞ!という気概など持ってはいないのだ。
まして そんな人達に、自分と同じ気持ちを持ってもらう事など不可能に近い。
だから、私に出来る事は…。
的確な指示を出して人を動かす。自分は誰よりも効率的に動く。
『ありがとうございます!これで積荷チェック終わりましたので、安全運転で移動開始お願いします!!』