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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第18章 あれ?俺って…アイドルだよな




「…ほら、早く上がれ。クラゲに刺され」

『じゃあ最後の質問です!なんで、楽は…、さっき私を 抱き締めたの?』


ユラユラと揺れる さざ波が 彼女の足元で遊んでる。


「………」


一目惚れだったとか。俺にはお前だけだと思ったとか。適当な言葉ならいくらでも並べられる。
事実、過去にはそういう類の台詞をいくらでも吐いてきた。

でも、今は無理だ。
この 綺麗な瞳に 嘘をつけるほど、俺は落ちちゃいない。


『質問を、変えようか。

どうして、また今も、私を抱き締めるの』


気が付いたら、またエリを抱きすくめていた。彼女は、距離を取ろうと身動ぐ。


「俺には…好きな奴がいる」


俺の胸板の上に置かれていた手が、ピクリと触れる。


「そいつと、あんたの顔が 少し似ていて。俺はもしかすると
エリを、好きな女の代わりにしようと してるのかもしれない」


こんな事を言われて、傷付かない人間がいるはずない。
彼女の反応を見るのが怖い。

俺の心臓は、バクバクと嫌な音を立てていた。

しかし。彼女は笑った。


『っ、ぷ。あは、あはは!何それ!楽ってば正直過ぎ!
私がもし、か弱い並の女だったら 卒倒してるよ!あはは』

「お前が、並の女じゃないのは織り込み済みだ。か弱い並の女は、凶器持った人間の前に飛び出したりしないからな」


口では強がって見せたが、エリの反応には かなり安心させられた。もしも泣かせてしまったらどうしようか、まで考えていたから。

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