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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第18章 あれ?俺って…アイドルだよな




「あ、あの、大丈夫ですか?警察、呼びましょうか?」


スマートフォンを片手に、高校生くらいの女の子が おどおどと楽に近寄る。

いつの間にか、ゲームセンターの前には若者が集まっていた。それはそうだろう。さきほどまでこの空間を支配していた異様な空気感は、人を集めるには十分過ぎた。


「っていうか、え?もしかして、TRIGGERの!」

「あれ?あれって八乙女楽じゃない?」

「わ!楽様!?」


まずい。周りも楽だと気付き始めている。このままではどんどん大ごとになってしまう。
早く、事態の収拾に努めなければ。いつも通りの私で。冷静に淡々と。いつまでも泡食ってる場合じゃない。

考えろ。春人なら、こういう時どう動く?
きっと彼ならこう言う。
“ お騒がせして、すみません。ですがこれは… ”


「騒がしくして悪いな。でも警察はいい。これは、今度のドラマの撮影の予行演習だから。
はは。紛らわしくて、迷惑かけたな」


警察を呼ぼうとしていた女の子の携帯を手に取り、画面をブラックアウトしてから 返す。
そんな楽の、落ち着いた所作には驚いたが。

それよりも、私が春人ならここをどう切り抜けるか。と考え、導き出した答えを 彼がそっくりそのまま言った事には、もっと驚いた。


「そ、そうだったんですね!わー、ドラマ、絶対に見ます!」

「ありがとうな」

「きゃー!かっこいいっ♡」


終始笑顔で、アイドルとして完璧な立ち振る舞いを見せる楽。

さきほどまで、ナイフで襲われていた人間だなんて とても思えなかった。

改めて思った。彼は強い。
そんな彼は、心も体も 生粋のアイドルなのだと。

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