第18章 あれ?俺って…アイドルだよな
美味しくハンバーガーを戴いたあと、私達は店を出る。
「次はどこに行」
『あ!』
助手席のドアに手をかけていた楽越しに、私はある物を発見する。
「??」
彼は私の視線の先を辿る。そこには…
「…ゲームセンター?」
『ちょっと覗きに行こう!』
ズラリと並ぶガチャガチャ。コンピューターゲームの機械音。クレーンゲームと格闘する人々。やっぱりこの場所は、どうしたって私の心を躍らせる。
『うわ!あれ懐かしい!へぇ、まだ置いてるんだ』
ゲーセンに来る事自体が久しぶりだった為、それがまだあった事に驚きを隠せない。
「これは俺でも知ってるな。やった事はないけど、なんだったか名前…」
『ステップステップレボリューション!略してステレボだよ!懐かしー!結構やりこんだなぁ』
私がこれを知ったのは、全盛期のかなり後だった。なので割と早い段階でゲームセンターからは姿を消してしまったのだ。
言わずと知れた、リズムゲームだ。上から降ってくる矢印の向きに対応した、足元のボタンを踏んで リズムをとる。上手くプレイすれば、まるで本当にダンスを踊っているかのように楽しめてしまうのだ。
『ちょっとせっかくだから、楽やってみてよ!』
「俺がやるのかよ」
『アイドルなのに、まさかダンス不得意とか?』
「言ったな お前。見てろよ?ギャラリーが集まってきても知らねえからな」
楽には悪いが…このゲームは、実際のダンスとは現実のダンスとは かなり勝手が違う。
リズムゲームに慣れていないと、矢印を追うのに必死で 踊るどころの話ではなくなるのだ。
それでも、さすがは楽。センスだけでそこそこコンボを繋げている。しかし…
『あはは!センス無いね』
「…俺にそんな言葉吐くやつ、エリぐらいだぞ」