第18章 あれ?俺って…アイドルだよな
「もしかして」
『は、初めまして!』
図らずとも、いつもよりも高い声が出た。
『本日はお日柄も良く、私などのお相手をして頂けるなんて光栄です!精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いします!』
「………」
顔を上げた私を、楽がじっと見つめる。
もしや…バレたか?私が春人だと、もしくはLioであると!
「はは!デートの前に、そんな仰々しい挨拶されたのは初めてだな。ま、気楽にいこうぜ。よろしくな」
『……ま』
眩しい。キラキラである。あえてもう一度言おう。キラキラである!
いつもよりも輝き5割くらい増していないか?
そうか。これが彼の、恋人に対する顔か。いや、擬似デートでこれならば、きっと本当の相手にはもっと…。
本当に、優しい顔で笑う。楽の恋人になる人は、もしかしたら幸せかもしれないな。
とかは絶対に思わない。
どれだけ優しそうで、キラキラしてても、同時に6人の女性と付き合ってしまうような男だ。やはりろくなもんではない。
楽は、辺りをきょろっと見渡した。
おそらく、私(春人)を探しているのだろう。
『あ、えっと…。さっきTRIGGERのプロデューサーだと言う方に会って、必要書類等渡して来ました!
八乙女さんと合流すれば、出発するように仰ってましたよ?』
「…そうだな。たしかに俺もそう聞いてたし、じゃあ行くか」
彼には、後ろからついて行くと告げたが。当然私はここにいるのわけで…。
きっと楽は、私が隣にずっとくっついているなど 予想もしていないだろう。