第17章 光栄の至り
私は1つの案を思い付き、TRIGGER3人の元へと走った。
ノックもなしに、控え室のドアを開ける。
『は…、はっぁ…』
「おう。どうだ物販」
「ちょうど、ボク達も様子を見に行こうとしてたんだよ」
「俺のCDだけ、売れ残ったりしてないよな…」
良かった。彼らは衣装を脱いでいない。
私は 息を整えるよりも早く、1番近くにいた楽の腕を掴んだ。
「な、!?」
『走って、下さい、!』
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「えー!もうCD無いんですか?」
「す、すみません…実は、前の人で終わっちゃって…」
(やべー!こんな時にプロデューサーはどこ行っちゃったんだよ!)
「そんなぁ…せっかく並んだのに…」
「悪いな。せっかく買おうとしてくれてたのに」
「え……、っっ!!え!?楽!?」
どうやら、間に合ったようだ。
CDを買えなかった彼女は、突然目の前に現れた本物の楽を見て固まっている。突然憧れの男に握手を求められ、気が動転しているようだ。
「ん?どうした?俺とデートがしたいから、このブースに並んでくれたんだろ?
ほら。手、出せよ」
「は、…、はっ、はいっ!!」
さっきまで悲しそうに、泣きそうにしていた女性が。今度は赤い顔をして最高の顔で笑っている。
そして、ゆっくりと差し出された手をとる。
「ありがとな。デートは、また今度」
「っっ、…ぅ、は、はいっ」
アイドルって、やっぱり凄い。