第17章 光栄の至り
「でも、このやり方は…ファンや周りから反感を買わないか?」
『まぁ、否定的な声もあるでしょうね』
それは想定済みだ。しかし、それに見合ったメリットもある。
「このやり方は、今回限り。でしょ?」
『はい。天の言う通りです。
今回実施して、それでどれ程の販売実績を得ようと、ファンから好評であろうと。
絶対に今回しか行いません』
それは、この企画を思いついた瞬間から決めていた。それをキッパリとここでも公言しておく。
『マニアとは…、目を付けた品は。どれだけ課金したとしても 手に入れたいもの!
それこそがガチャの沼です。まさに抜け出せない…っ。気が付いたら本当に、重課金兵になってい』
「ガチャの話はもういい!話が脱線するだろ!」
楽の喝で目が覚める。
『すみません。
どうして、今回限りか。という話でしたね。
さっきも言った通り、マニア…貴方達のファンなら 絶対に当たりのチケットを引きたいと思うでしょう。そしてその為には、同じCDを、10枚20枚。もっと購入する人も出て来る』
「それは、俺達の望むところじゃない。な」
『その通りです。意に反します。しかし』
「ま、メリットもデカイ…」
私は、楽の言葉に頷く。
「確かに、かなりの売り上げが見込めるからね。そして、資金は絶対的に大切だし。
軍資金があれば、衣装のグレードアップや 箱や演出の底上げが可能で。よりハイクオリティなライブをする事が出来る。
ファンの皆んなに、もっと喜んでもらえるライブが出来る。回りまわって、ファンへの還元に繋がるよね」
私の伝えたかった事を、全て天達が話してくれたので 企画概要の説明は意外と早く終わった。