第17章 光栄の至り
『しかし…無理に。とは言いません』
「珍しいね。ボク達に、やるか やらないかを決めさせるなんて」
「いつもなら、やれ。の一択だろ」
たしかに、以前までの私ならばそうだっただろう。しかし今は、出来る限り彼らによりそって活動をして行きたいと思っている。
私が作り上げたいTRIGGERを押し付けるのはやめた。
『…この際ですから、聞いておきたいのですが。
貴方達が見据える、アイドル像とは どんなものですか?』
TRIGGERは将来、どんなアイドルになるのか。
『ゼロのように、天才的とも言える魅力で、他を寄せ付けない…
まさに、偶像として芸能界に君臨したいのか。
それとも、
親しみやすく、手を伸ばせば届きそうなくらい ファンに寄り添っていくアイドルを目指すのか。
TRIGGERは、どこを見据えて 走っていきますか』
「誰からも、愛されるアイドルになる」
即答したのは、天だった。
「天才的で」
「ファンに寄り添う」
楽と龍之介も、迷う事なく言葉を紡ぐ。
『…成る程。欲張りですね。でも、自分達が 将来こうなりたい。というビジョンを持っている人間は強い。
私は好きですよ。そういう人間が』
自分達の未来を語る彼らの目の中に、チリチリと小さな焔が揺らめいているのを 私はこの時 たしかに見た。