第16章 泣いてなんて、ないよ
『い、いや…その。初対面の方に、そこまでして、頂くわけには…』
「OH…、奥ゆかしいのですね。ますます魅力的です。ワタシとしては、どうしてもアナタと時間を過ごしたいのですが。
…となれば、もう縁の下しかありませんね。
おいくらほど包んだのならば、そのカラダを預けてもらえますか?」
「変な言い方すんなよ!」
「ナギくん、もしかして 袖の下と間違ってない?縁の下には何も包めないよ」
冷静に突っ込みを入れる前に、いい加減に助けて欲しい。
「ナギさん!!プロデューサーさんに失礼ですよ!こんなに格好良いのに、女の人に間違っちゃうなんて!」
ずっと欲しかった言葉を、ようやくマネージャーがくれた。
「……………」
ナギは 握った手を離さず、私の顔を見て固まっている。
『……男です』
「ジーザス!!」
ぺいっ!と私の手を放り投げた。
「ワタシの純情ハートを、よくも弄んでくれましたね!オトコ!オトコならば、キンパツに青い目は許しませーん!それはワタシの専売ラッキョです!キャラが被りまーーす!」
「わ、わぁ!!僕、これ以上ナギくんが失礼な事を言う前に連行します!!」
「ソウゴ!はなして下さい!私はあのニセモノ外人をセイバイします!」
「暴れない!金髪碧眼は、君の専売特許じゃないからね!」
キーキーと喚き散らすナギを、壮五がズルズルと引きずって、奥へと消えていった。
「……はっ、
中崎さん!うちの六弥が、とんだ失礼をっ!」
『あ…いえ、大丈夫ですよ。えーと…なんというか、とりあえず…
専売ラッキョは、とても美味しそうです』