第2章 …なぁ。俺達、どこかで会ったか?
「……あはは、なんだかんだ優しいよね2人も。結局気になって来てるんだから」
「うるさいよ」「うるせぇな」
3人が部屋の外にいるなどはつゆ知らず。
私は私の仕事をする。
『………』
「…おい、あれって」
「ボク達の、過去のインタビュー映像だ」
「食い入るみたいに見つめてる…」
『……』ふむ
八乙女楽は、クールなキャラで自分を売っているようだ。
あの見た目に、あの声だ。それでなくても女子受けが良いのは間違いない。さらにワイルドな口調や強引さが彼の魅力をより際立たせている。彼はTRIGGERを引っ張る存在だな…。
九条天は、私は見た目から天使のようだと決めつけてしまったが。どうやら小悪魔路線でも売っているらしい。
あと、プロ意識の高さが 言葉の端々に感じられる。彼がTRIGGERのセンターを張っている理由が分かったような気がする。
十龍之介。
エロい。以上。
と、いうのは冗談で。エロさの中にも、見る者に安心感を持たせる、お兄さんのような雰囲気がある。このギャップがまた彼の人気の秘密だろう。
「…声をかけられる雰囲気じゃないね」
「そうだね。じゃあボクは帰るから」
「………」
『………』
目がシパシパする。
思っていたよりも大量の情報を前に、無情にも時間は刻々と過ぎていく。
しかし、この作業が一番大切だと私は考える。
彼らが今まで築き上げて来た物。彼らが今まで何を大切にして来たのか。
それらを知らないままで、私はTRIGGERの歌は作りたくない。