第15章 俺…もしかしたら…、ホモなのかもしれない!
【side 十龍之介】
足元が、おぼつかない。
頭の中が、散らかってる。
胸の熱が、引かない。
昨日からずっとこんな状態だった。
ここまで自分で自分が分からなくなったのは、初めてだ。
もしも “ 彼 ” が “ 彼女 ” だったならば、きっとここまで悩まなかったと思う、
なんてことはない。多分、
“ あぁ、これが恋なんだ ” って。素直に認めていたと思う。
しかし、春人は男なのだ。
今まで女性にすら、恋をした事がない俺が。まさか、初めて出来た好きな人が、男…?
と、いう事は だ。俺はもしかして、ホ…
その単語を思い浮かべる前に、ブンブンと頭を振る。
「いやいや、そんなわけない!だって今まで、男にときめいた事なんてっ、」
受け入れがたい事実に、必死に言い訳をしてみるが…。
じゃあ、なんだ。この気持ちは。
俺はどうして、こんなにも彼に…会いたい。
『おはようございます』
「うわぁ!!」
背後から声をかけられ、心臓が止まりそうになる。
『頭痛ですか?頭を振っていましたが』
昨夜の出来事があるから、どんな顔をして会おう。何を話したら良いのか。など考えていたのが馬鹿らしくなってしまうくらいに、相手方は平常運転だった。
「頭は、痛くないんだ」
『頭…“ は ” ?』
そう。痛いのは、この胸の奥だけ。