第15章 俺…もしかしたら…、ホモなのかもしれない!
少しの間、ぐったりとしていた龍之介だったが。何を思ったのか 私の下半身へと手を伸ばしてきた。
まさかそんな予想外の行動に出るとは思っていなかったので、完全に油断した。
彼の手は、とん。と私の大切な部分に触れる。
『っ!?な、なんっ』
思わず身を引いて、彼との距離を空ける。
「……あれ」
もしや、バレた?私が女であると…!
「そ…うか。まぁ、普通そうだよね。男の俺の相手をしても、反応するわけない…か」
バレて、ない。
どうやら私が勃起していない事を言っているらしい。
『ま、まぁ、そうですね』
というか、私にはそもそも勃つようなモノは付いていないのだから当たり前だ。
「…そうだよ、ね。普通は」
彼は呟くと、悲しそうに笑った。まるで泣き出してしまいそうな、傷付いた表情。
そんな顔を見ていると、私まで胸が締め付けられるようだ。
『そもそも、貴方が私を気持ち良くしようと思う必要なんてないんですよ?お気持ちだけ、受け取っておきます』
私はそんな彼から、逃げるように顔を逸らした。
「これは…君にとって、ただの仕事だから?」
『…その通りです』
龍之介に背中を向けたまま、答えた。またあの切ない顔を見てしまうと、本心を零してしまいそうだと思ったから。
仕事。たしかに最初は100パーセントそのつもりだった。でもやはり、体を近付けると心も近付いてしまう。
さっきの私は、たしかに自分の意思で 彼に触れたいと思っていたのだ。
仕事のパートナーに、こんな感情を持ってはいけない。
これは、いけない気持ちだ。