第15章 俺…もしかしたら…、ホモなのかもしれない!
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「は、…っ」
龍之介の唇の隙間から、熱い息が漏れる。
私はそんな声を聞きながら、彼の下半身へと手を伸ばす。
布の上から優しく撫でると、服越しにでもハッキリと分かるくらい 熱い肉棒がビクンと跳ねた。
きちんと欲情してくれていた事に安堵して、私はゆっくりとベルトに手をかける。
『龍之介…、ねぇ、触ってもいい?』
「それ、やめてくれないか」
『え、?』
龍之介が、彼にしては珍しく低い声を出した。ギラついた瞳に、荒く吐いた息。
これは…怒っているというより…。まるで獣だ。
本能を曝け出して、こちらに牙を剥き出しにしている、獣。
『…何を、やめるの?』
「その…女の人みたいな喋り方も、俺の事を龍之介って呼ぶのも。
そんなのは、春人くんじゃないみたいだ」
それは…。どういう意味だろう。
私はあえて、彼が興奮出来るように女らしく演技していたのに。
『ですが、いつも通りだと いやでも中崎春人(男)を連想してしまいませんか』
龍之介は、優しくロングヘアーのウィッグを下に引いた。するとウィッグはパサリと音を立てて落ちる。
「…いいんだ。君は、いつもの君で、いい。
いや、違うな。いつもの君“が”いいんだ」
『っ、』
どきりと心臓が跳ねた。
どうして、貴方はそんなにも熱い視線で私を見るの。
どうして、そんなに真剣な顔で言葉を紡ぐの。
そんなのは まるで…
私の事が好きだと、告白しているみたいじゃないか。