• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第118章 Another Story




シングルサイズの布団に、二人はやはり狭い。しかしこうして彼の腕の中にいられれば、この狭ささえ嬉しかった。


「エリは、どんなベットが欲しい?」

『私に決定権を譲ってくれるの?』

「要相談、かな」

『シングルベット、二つとか?』

「ねぇ。どうしてそんなに寂しいこと言うの」


自分のすぐ斜め上にあった顔が、恨めしそうにこちらを見た。唇を尖らせた、そんな表情が見たかったから。なんて、口が裂けても言えない。


「ボクへの愛が足りてない」

『ついさっき九条さんの家で私の愛を確かめたくせに、よく言うね』

「足りない。もっと欲しいんだもん」


あまりの可愛らしさに、心臓がぎゅんと収縮した。それと同時に、腕枕をしてくれていた天が上へと来る。
私を見下ろす男には、可愛さなど微塵も感じられなかった。天の瞳の中にある光の粒が、きらりと光る。


「その為にはやっぱりボクが、まずキミへの愛を示すべきだ。そう思うでしょう?」


期待していたことを悟られたとしても、もうそんなことはどうでも良かった。彼の問いに対し、頷くという選択肢しか私は持ち得ていない。

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp