第118章 Another Story
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唇が合わさった瞬間は、いつも心臓が止まりそうになる。それが ちゅっと音を立てて離れれば、天は間近で微笑んで見せた。その瞬間は、比喩なく私の心臓は一瞬停止していると思われる。
『は……、天。もっと、欲しい』
「いいよ。もちろん」
懇願すれば、今度はもっと深いのをくれる。指で顎を持ち上げて薄く唇を開かせてから、熱い舌が挿入された。先が歯列をなぞった後に、深く舌を絡ませる。とろりと溶かされる感覚に、軽く目眩を覚えてしまう。
こちらがそんな状態だというのに、天はキスをしながらも手を胸元へと忍ばせる。優しい手つきで、膨らみを包み込んだ。長い指が、柔らかい肉に沈む。
親指と人差し指の腹で、突起を軽く潰されると腰が跳ねてしまう。その跳ねた腰を、彼は反対側の手で怪しく撫でた。カーブをなぞるようにゆっくりと撫で付けた。そんなふうにされれば、腰だけでなく体全体が反応してしまう。
いつの間にかこちらを見下ろしていた天は、くすっと笑った。
「感じちゃう?」
『ん……うん』
「可愛いなぁ、もう」
唇が、首筋を滑る。鎖骨辺りで止まると、小さく肉を吸い上げた。
可愛いくて堪らないという証を、天はそこに残したのだ。マーキングをされて嬉しくなってしまうなんて。私は一体どうしてしまったのか。