第116章 心、重ねて
これまでの人生で、最も心がときめいたシーンと言っても過言ではなかったかもしれない。
こんな場を用意してくれたTRIGGER…いや。こんなのは、3人の力だけでは成し得ない。きっと他の3グループとマネージャー達。そしてスタッフと、多くの協力者がいて初めて実現出来たに違いない。後は何より、この場に居てくれたファンの皆んな。
それらの全てに、感謝をした。そんな最大級の感謝の念を込め、私はステージから はける前に一度だけ客席に顔を向ける。
そこには…想像すらもしていなかった光景が広がっていた。
全面で揺れるのは
“ 白い光 ”
揺れる波に月光を吸い込んだ、夜の海のようでいて。
数え切れないほどの星々を抱えた、夜空のようで。
私はその余りに美しく幻想的な光景に、瞬きをするのも酸素を取り込むのも忘れてしまった。
そこまで余裕を失うくらいだから、私はまだ気付かない。
この白い光の正体が、ファンの手元で輝くリングライトだということに。
これこそが、TRIGGERが私に用意した本命のサプライズだということに。
《 この “白” は 》
天がマイクに言葉を乗せてもなお、私は衝撃から抜け出せずにいた。
《 ボクらをずっと支えてくれて、16人をこのステージに立たせてくれた…スタッフの色 》
あぁ…
私は
《 どうしても、その人と一緒に この景色を観たかった。皆んな…ありがとう。今 ここにいてくれて、ありがとう。
ボク達の夢を、叶えてくれて 》
この景色を
一生 忘れることはないだろう。
《 ありがとう。この景色を、ボクらは一生 忘れないから 》