第116章 心、重ねて
この楽しい雰囲気のままに歓談は終了。となれば良かったのだが、とある男が名乗りを上げた。
「こいつのモノマネなら、俺が引けを取るわけにはいかないっすよねえ」
誰に挑発されたわけでもないのなに、何をオートで焚き付けられているのだろうこの男は。しかしながら千もノリノリで、へぇ と顎に手をやって笑みをたたえる。さらにはそれを、百が盛り上げた。
嫌な予感で既に胸いっぱいなのだが。楽は咳払いの後、私のモノマネとやらの披露を始める。
「ぅ…んー…。がく、電気を…消してくださ…明日も、早いんですから……。ぐぅ」
辺りが静まり返ったのは、言うまでもない。しかし、唯一1人だけが好反応を見せる。
「っぷ…!あはは!似てる似てる!眠くてエリと春人くんがごっちゃになっちゃってるとこ、とか…。えーと……ごめんなさい」
盛り上がっているのが自分1人だと気付いた龍之介は、顔を俯かせ謝罪した。