第116章 心、重ねて
「ユキにしか出来ないまさかのプレゼント!オレには絶対に真似出来ない…!このままじゃ、モモちゃんだけが手ぶらになっちゃう!どうしよう!」
『どうしようって…べつに全く構わないんですけど』
「ダメダメ!これはRe:valeの沽券に関わる由々しき問題で」
『じゃあ、何か面白いことして私を笑わせてください』
「無茶振り凄いね!?」
「僕もモモのちょっと良いとこ見てみたい」
まるでホストクラブのコールよろしく、千は手拍子を始めた。なんともキレのない煽りであるが…
「ユキにそこまで言われちゃ、やらないわけにいかないよね!」
ぴしっと伸ばした右腕をピンと上げ、いきまーす!と宣言した百。一体これから何をしてくれるのかと見守る5人。10の瞳を集める百が披露してくれたのは、モノマネであった。Re:valeだけでなくTRIGGERも、大変お世話になっている某有名MCの男性を真似る。少し掠れた特徴的な声や、色眼鏡をくいっと持ち上げる所作など、思わず唸ってしまうクオリティだ。
「百さん凄い!」
「はは!めちゃくちゃ似てますね!」
龍之介と楽も、手を叩いて百を称えた。私も彼に拍手を送る。
「えへへ、喜んでもらえて良かった。家でコソ練した甲斐がありましたなぁ!」
「さすがだね。じゃあ次は僕の番かな?」
「えぇ!?これそういう流れなの!?」
自信満々で前へ出た千に、百はぎょっとした瞳を向ける。そんな視線を異に介さず、彼の芸は開始された。
「千さん。いくら眠いからと、栄養ドリンクは元気の前借りですよ。眠気覚ましなら、歯磨きがオススメです。歯磨き粉を多めに付けて試してみてください。それでは」
その場にいた全員が笑い出す。誰しもが、千が誰を真似たのか理解していた。
中でも1番ツボに入ったのはどうやら、意外にも天である。
「ふ、ふふ…!に、似てる。急いでる時に、言いたい事だけ言ってすぐどこかに行く、プロデューサー…!ふふ、」